【exhibition】懇親力のデザイン(Conviviality Design)〜和文化で集う“多目的ユニット(集成材)”の提案
本展覧会は武蔵野美術大学と日本集成材工業協同組合との産学共同プロジェクトの最終成果物の発表展示です。
国産集成材を利用した、新しい“多目的ユニット”を提供サービスなどを含めた形で提案します。国産材の活用方法の一つとしての集成材の可能性と、日本の住環境や商業利用を考慮したユニット設計の中でのサービス(懇親力)の提案展示を行います。また、期間中には武蔵野美術大学学生による和菓子やお茶、おむすびなどを振る舞う屋台サービスデモンストレーションや、ユニットのギャラリーとしての活用方法を提案する人形作家タカハシカオリ氏による作品展示などさまざまなイベントを開催する予定です。
今回のプロジェクトは日本集成材工業協同組合が従来型のモノづくりからの発想ではない新しいアプローチを求めているところに、挑戦的・実験的なデザイン開発を志向する武蔵野美術大学デザイン情報学科が、国産集成材の需要開拓をするための用途開発とそれを全国展開するための仕組みづくりを提案することにより、コラボレーションが成立しました。具体的には、ダイレクト・コミュニケーションの場である“屋台の楽しさ”をリサーチしてその本質的価値をコト(インタラクションやサービス)のデザインに応用するデザイン情報学科3年のゼミ生25名が6チームに分かれて本テーマに取り組み、昨年12月に学内展示会でコンセプト提案しました。集成材の特性を活かした“扇形ユニット”も学生による提案から出てきたものです。次に学生からの提案を集約するかたちで内田洋行(パワープレイス)のデザイナーにバトンタッチして、実用に耐えうる「多目的(集成材)ユニット」がモデル完成しました。
近年、訪日外客数は増加しており、2014年1月~12月の訪日外客数は1,341万4千人、前年比43%増と過去最高記録を更新しました。政府が訪日外国人を2020年までに2000万人を目指し、国内消費を盛り上げ、地方経済を活気づかせようとしていることを踏まえ、今回本学の学生は訪日外国人に日本の和文化を伝えることをひとつの目的として掲げております。本展覧会で日本文化を伝えることにより、「より日本に親しんでほしい」、「より日本を好きになってほしい」という気持ちで外国人をもてなします。
“和のおもてなし”を表現するものとして、多目的ユニット(=ハード)とコンテンツ(=ソフト)さらに懇親力(=コンセプト)の3つの要素が取り入れられています。“デザイン”によりこれらを融合することで、今回の空間が生み出されました。
●今回のキーワードとなる“Conviviality(懇親力)”とは
デザインは従来から言葉によらないノンバーバル・コミュニケーションの有力な手段として注目されてます。
それをさらに日本的な脈絡で進化(深化)させていくには、どんな新しいデザイン手法が考えられるでしょうか…。今回は、そんな漠然とした問いかけに対して、これまでデザイン情報学科が取り組んできた授業やプロジェクトの紹介を兼ねて、その上位にある“コンビビアリティ < conviviality >(懇親力)”というあらゆるコミュニケーションに通底するコンセプトに迫ってみようという試みです。
“コンビビアリティ(懇親力)”とは、辞書によれば、「懇親的な」「上機嫌で陽気な」「宴会好きな」を意味する形容詞<convivial(コンビビアル)>の名詞形です。国際的な場でのロビー活動が苦手とされる日本人にとって、それを安易に“宴会力”と短絡的に解釈されてしまっては困ります。今回は、ややもすると、簡単で便利なメールやスマホで何でも済ませようとする今日のネット社会において、本来のコミュニケーションのあり方やその意味について文化的側面から捉え直して深化させるために、そのキーワードとなる“コンビビアリティ(懇親力)”をテーマに、その意味と役割を再考したものです。
<開催概要>
展覧会名:
懇親力のデザイン(Conviviality Design)~和文化で集う“多目的ユニット(集成材)”の提案
日 時:
2015年3月21日(土)~26日(木)11:00-19:00 ※23日(月)のみ18:00まで
場 所:
武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
主 催:
武蔵野美術大学/日本集成材工業協同組合
共 催:
武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
協 力:
株式会社内田洋行/パワープレイス株式会社/武蔵野美術大学デザイン情報学科研究室
入場料:
無料
イベント:
学生による屋台サービス提案デモンストレーション、屋台ギャラリー展示、など
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