【lecture】WEEKEND 学長トーク vol.2 - もともと美大はグローバル! –
2015年度より武蔵野美術大学学長に就任した長澤忠徳教授が、六本木にあるデザイン・ラウンジを拠点に「WEEKEND 学長トーク」を開催します。
美術大学の誤解されがちなところや、現在推進しているグローバル教育についてなど、受験生や保護者はもちろん、一般の方にも是非聞いてもらいたい「美大の本当の姿」を学長自らが語ります。
■vol.2 「もともと美大はグローバル!」
美大を卒業したら画家になるの? 一般企業では働かないの?
あまり知られていない美大の「就職」や「進路」。
実際の就職状況や現役の卒業生の活躍など、みなさんが知りたい「美大の就職」最前線についてお話しします。
また、近年急速に進んでいる大学のグローバル教育についても、本学が取り組んでいるプログラムから見えてくる成果を学長自らがお話しします。
講 師:
長澤 忠徳(武蔵野美術大学学長)
日 時:
平成27年7月24日(金)18:30-20:30
会 場:
武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
受講料:
無料
定 員:
65名(申込先着順) ※定員を追加致しました。
主 催:
武蔵野美術大学法人企画グループ
【Archive】
Globalの語源はGlobe、地球である。
日本の食材の多くは輸入品で、もはや日本だけでは生きていくことはできない。
世界に目を向けることは必要不可欠である。
たとえば、ヨーロッパがEUという共同体になったことにより、国家の概念が揺らいできた。
Nation だけでは国境を考えることができなくなってしまったのである。
地球に塀が立ってるわけでないから、Globalという言葉が出てきた。
言葉が大事なのではなくて考え方が大事である。
InternationalはNationとNationの間。
「あの水平線に立てるか?」を、私は提唱している。
水平線と鏡の中の像は、そこには存在しない。
水平線を作っているものは、空気・水であるが、これらは触ることができる。
なにかと何かの間。ボーダーというのは、数学的に言うと点の集合体である。
どちらでもあるということ。
その線の意味がなくなったのではないか、ということがグローバルである。
バックミンスター・フラーは様々なものを発明したが、
五角形を組み合わせて巨大な構造体を作ったりした人物である。
その人の言葉に、宇宙船地球号というものがある。
私たちは国に住んでいると思っているが、
宇宙船地球号の一人の乗組員として生活していると考えなければいけない。
これはグローバルスタンダードの哲学である。
海外で面白いものを作ったとすると、矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
そこで作品についての確認と、そのあとに起きる事態をきちんとフォローしないと、
コミュニケーションが成り立たない。
つまり、英語ができなくても絵を描けば分かってもらえる、
という考え方は間違っているのである。
正しく伝わったのか、少し違ったのかなどを確認したい。
グローバルにものを考えてローカルにアクションをしなさい、という言葉がある。
グローバルに動く、というのは物理的には難しい。
頭の中は無限の空間で、月の上に立っている、というのは想像をすることは可能である。
ところが、私たちの身体は動き回れる範囲には限界がある。
グローバルな考え方は、ローカルな場所で生きてくるのである。
あるとき、デザイナーは企業の中で何をしているか?というのを話し合った。
そうすると、彼らはそれそれの文化を語り合った。
文化というのは、説明しなくても分かりあうことができる集団のことである。
方言、産業などの色々な文化がある。
結婚というのは、異文化コミュニケーションである。
家庭の中にある文化というのは生活文化である。
最後の砦は、芸術文化である。
そこにも、音楽・演劇・彫刻・日本画色々なものがあるとすると、
固有の価値観・特別なキーワードを持って語り合っている。意味が普通の言葉以上に伝わる。
「グローバル化」というのは、世界での大きな大きな文化である。
「見えること」と「触れること」タンジビリティーとインタンジビリティーについて。
見えているものを掴むことはできないが、もう一度違う形で作ることは可能である。
私たちの体は、インタンジブルのものを取り込んでタンジブルのものを作る。
図の研究からの発見「表現は心の音の図りごとで生まれる」
心の中で音が響いて、違うものが出てくるのである。
すなはち、身体は「インタンジブル」と「タンジブル」の変換装置である。
本当にグローバルであるためには、日本でグローバルな活動をすることである。
We are all different, we are all special.