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【report】「CIVIC PATTERN PROJECT」PROJECT _ 01/小平市 完成報告会

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 地域に住み、働く人たちの地域への愛着「シビックプライド」の向上を目指す「CIVIC PATTERN PROJECT」のPROJECT _ 01/小平市の完成報告会を実施しました。

 地域の名産品や見どころなどをモチーフにグラフィックパターンを作成し、そのパターンを媒体やグッズ、街の景観などに使用することにより、地域への関心や愛着が高まるコミュニケーションを誘発しようというCIVIC PATTERN PROJECT。完成したグラフィックパターンは市職員の名刺や印刷物、ノベルティグッズなど、地域活性化のためのデザインとして活用されています。

 グラフィックパターンを作成したのは、武蔵野美術大学に通う学部や学科、学年も異なる6名の学生たち。学内説明会でプロジェクト参加希望者を募り、20名以上の応募者の中から選ばれました。「ブルーベリー」「玉川上水」「丸ポスト」など、小平市をイメージするモチーフをそれぞれ担当し、制作を進めていきました。

 プロジェクトは2021年7月に始動。デザインの力でコミュニケーションを誘発するというコンセプトについてディスカッションをしたのち、それぞれの制作に取りかかりました。通学で毎日のように通う小平市とはいえ、学生たちも大学周辺以外の地域のことはあまり知りません。市内の景観や動植物を観察したり、農作物の生産者に話を聞いたりとリサーチを重ね、表現を考えていきました。学生同士で意見交換を繰り返し、数ヶ月をかけてデザインをブラッシュアップ。11月に小平市職員へのプレゼンテーションが行われ、最終的なグラフィックパターンが決定しました。

 

 

 ブルーベリーのみずみずしさを絵具の水滴で表現した菊池怜さんは、造形学部日本画学科の4年生。唯一のファインアート系学科からの参加となりました。今回のプロジェクトについて、「挑戦だった」という菊池さん。
 「これまでは、誰かに使ってもらうことを考えながら制作をするということがありませんでした。またプレゼンのために資料をつくるのも初めてで、とても難しかったけれど形になったものをみなさんに見てもらえることに達成感を感じています」と話しました。

 

 

 工芸工業デザイン学科2年生の藤森奈々子さんは、小平梨をモチーフとしたパターンを制作。JAや農家に足を運び、小平梨の特徴や生産方法、つくり手の思いなどを聞いてデザインを考えていきました。制作については、
「学年も学科も違う人たちの中で刺激を受け、学ぶことが多かったです。グラフィックパターンという、普段あまりやらないデザイン領域で制作できたことや、作品が模型で終わらず実際に形になるというのは貴重な経験だったと思います」と振り返りました。

 2022年5月10日には学生たちが小林洋子小平市長に向け、CIVIC PATTERN PROJECTの完了を報告し、7種のグラフィックパターンをお披露目しました。小林市長は「市の特徴や名産をよく調べ作っていただいた作品を、地域活性のために大切に活用していきたい」と感謝の意を示しました。

 

 プロジェクトを企画した武蔵野美術大学の卒業生でもある株式会社ディーランドの酒井博基さんは、
「地域の見所や名産をモチーフに制作するにあたり、様々な学科や学年の学生が参加してくださり、多様な視点でCIVIC PATTERN PROJECTを進めることができました。たくさんの方がこのグラフィックパターンに触れることによって、小平市にはこんな特徴があったんだ、と地域に興味を持ち、さらにコミュニケーションを誘発する仕掛けになれば嬉しいです」とプロジェクトの手応えを語りました。

 また、グラフィックパターンは市内の公共喫煙所にも採用されることとなり、協力したJTの青木さん、塚田さんは、武蔵野美術大学との連携について次のように話しました。
「駅前という立地の良いところにある喫煙所を地域のためにもっと有効に活用したいと考えていましたが、美大生の持つアイデアや発想力のおかげで実現することができました。完成報告会でのプレゼンテーションを見ていて、学生さん一人一人の、デザインに対する思いや制作過程が想像以上のもので驚きました」。

 グラフィックパターンは、今後もさまざまな形でより多くの人の目に触れることになりそうです。このデザインをきっかけに、街の中にコミュニケーションが生まれ、地域に愛着や関心を持つ人が増えることを期待しています。

 

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CIVIC PATTERN PROJECT
採用されたグラフィックパターンとそれぞれの作品の説明が、CIVIC PATTERN PROJECTのWEBサイトにてご覧いただけます。
https://civic-pattern.jp/

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